「これが『ステップワゴン』?と思われるぐらい、さまざまなところを変えていますが、ワタシは、このクルマがこれからのミニバンを表すスタイルだと思っています」と、新型ステップワゴンの開発責任者を務めた蓮子末...
【ホンダ ステップワゴン 創った人】その2 セダンを作るつもりで走りを煮詰めた…蓮子末大チーフエンジニア
「新型『ステップワゴン』は、ミニバンを作るのではなく、セダンを作るつもりで開発しました」とステップワゴンの開発責任者を務めた蓮子末大(はっしすえひろ)さんはいう。
「新型は低重心化と前後のオーバーハングを短縮することで、慣性モーメントを10%低減しています。また、ステアリングレシオも先代に比べて15%もクイックにすることで、セダンのような運転感覚が実現できていると思っています」と続けた。
新型ステップワゴンの走りは、確かにセダンに近い動きを見せる。ステアリングを切り込んだ瞬間に気持ちよくノーズが動いてくれ、低重心の効果が現れている。全高が低いので、グラっとくるようなワンボックス特有の、大きなロールとは無縁の世界だ。
リヤサスがダブルウイッシュボーンからトーションビームになったので、多少安っぽさが出てしまうのではないかと懸念していたが、乗り心地のよさもじゅうぶん進化していた。2.4リッター車のほうが多少引き締まったフットワークを見せてくれ、よりスポーティな感覚が楽しめる。
「エンジンとトランスミッションに関しては先代と同じタイプを使用していますが、両エンジンにDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)を採用していますので、先代よりもリニアで力強い加速を感じられると思います」と蓮子さんは語る。
事実、DBWの効果で2リッター車でも、アクセルに対する追従性がよくなっている。高速の合流時などに深めにアクセルを踏み込むと、スロットルバルブがより大きく開き、さらにATもシフトアップを抑えて高回転まで引っ張ってくれるので、力強い加速感を味わえる。なぜ、ここまでミニバンにセダン並みの走りを求めるのか。それは蓮子さんの経歴を聞いて納得ができた。
「ステップワゴンの前は『シビック』タイプRの開発を行なっていました。ワタシ自身も走ることが大好きなので、走りは妥協したくありませんでした。ミニバンは乗り心地や燃費など、走り以外にも求められるポイントが多いので、カタチにするのは難しかったのです」と蓮子さんは開発当初を振り返る。
タイプRの次にステップワゴンの開発を任せるというあたりが、じつにホンダらしい人選。その人選が間違っていなかったことは、ステップワゴンのステアリングを握れば、誰もが実感できるはずだ。(つづく)
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