実際に使われた振り込め詐欺マニュアルを発見

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神奈川県警は8日、今年2月に摘発された振り込め詐欺(おれおれ詐欺)グループが使用していた“マニュアル”の中に、昨年8月に未遂で終わった事件で犯人が使ったストーリーと酷似した内容のものが含まれていることを明らかにした。

事故を起こした場所などは任意で設定するようになっており、警察ではこのマニュアルが広く出回っている可能性もあるとして、さらに調べを進めていく方針だ。

神奈川県警・捜査2課によると、このマニュアルは今年2月に摘発された26歳の男を筆頭とする4つの詐欺グループが使っていたとされるもの。

マニュアルは今年2月下旬にグループが使用していたとされる、埼玉県岩槻市内の倉庫を家宅捜索した際に押収されたパソコンのハードディスク内から発見されている。

マニュアルにはその一例として、「神奈川県警の警察官を名乗って電話を掛け、応じた人物に“交通事故の相手車に同乗していた妊娠中の女性が破水した”と告げる」、「この場で示談しないと刑事処分が課せられて交通刑務所に服役することになる…などと持ちかけ、振込みさせる」というストーリーが紹介されている。

実はこのストーリーをそのまま使った事件は昨年8月26日に発生している。横浜市神奈川区内に在住する68歳の男性(当時)に対し、神奈川県警の警察官を名乗る人物から「川崎市宮前区けやき平1丁目で息子さんがクルマ同士の接触事故を起こした」と電話が掛かってきた。

警察官を名乗る男は「シートベルトを着用していなかった妊娠8カ月の女性が負傷して病院に搬送された。このままだと息子さんは安全運転義務違反と危険運転致死傷罪、業務上過失致傷で立件され、交通刑務所に半年以上、2年以内の服役をすることになってしまう」と話を進め、男性に現金の振込みを要求した。

しかし、男性は「家族に相談する」といって即時の振込みを拒否。男は「息子さんには交通刑務所に行ってもらいますから」いう捨てゼリフを残して電話を切り、現金被害は免れた。

また、この通話の一部始終(約11分間)はテープに録音されており、警察では貴重な資料だとして男性から任意提出を受け、その一部を県警ウェブサイトで公開していた。

この未遂事件にグループが関与していたかどうかは定かではないものの、警察では「同様のマニュアルが他のグループにも出回っている可能性が高い」として、主犯格の男などを厳しく追及するとしている。

一連の事件では、4グループ合計で約20億円の被害を出しており、警察ではマニュアルの内容を確認し、過去の事件で使われたものに似たストーリーがないか、さらに調べを進めている。

《石田真一》

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