故意に追突「ざまあみろ」…悪質ひき逃げ犯の公判始まる

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割り込みを巡る交通トラブルからオートバイに追突する事故を起こし、運転していた男性に全治3カ月の重傷を負わせたまま逃走したとして、危険運転致傷と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男に対する初公判が16日、横浜地裁川崎支部で開かれた。

被告は起訴事実を全面的に認めている。

問題の事故は今年5月7日深夜に発生している。同日の午後11時20分ごろ、神奈川県川崎市高津区子母口付近の市道で、左折のために減速していたオートバイの後部に後続のワゴン車が激突した。

バイクは転倒し、運転していた日本唯一のプロトランポリン選手である30歳の男性が右肩などを骨折。全治3カ月の重傷を負った。

ワゴン車は現場から逃走したため、警察では重傷ひき逃げ事件として捜査を開始。ナンバーの目撃情報などから近くに住む40歳の男が捜査線上に浮上。

任意で事情を聞いたところ、「事故を起こし、怖くなって逃げた」と供述するなど、容疑を大筋で認めたために業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕した。

事故は当初、偶発的に発生したものと思われたが、逮捕した男は事故現場の数百メートル手前で被害者のバイクに追い越されたことに腹を立て、故意にぶつけた交通トラブル起因の可能性が高くなった。

男は取り調べの際に「目前での車線変更を不快に思い、こらしめてやろうと思った」と供述。さらには「ぶつかって倒れた瞬間には“ざまあみろ”と思った」などという悪質な発言を繰り返した。

また、男は任意保険に加入しておらず、被害者への賠償についても「払う必要ない」と述べるなど、反省の色がまったくみられないことから、警察では悪質事案と判断。逮捕容疑の業務上過失傷害から危険運転致傷に切り替えて送検。検察もこれを支持して同罪で起訴していた。

16日に行われた初公判で、被告の男は起訴事実を全面的に認めた。その後に行われた冒頭陳述で検察側は「被告は被害者が行った車線変更を不快に思い、停止させて因縁をつけようと思っていた。被害者が左折する際に減速を故意に遅らせて接触させ、転倒して負傷した被害者を見て“いい気味だ”と思っていた」などと指摘。事故に至る経緯が身勝手かつ悪質であることを強調した。

公判は今後も継続される予定だ。

《石田真一》

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