栃木の女子中学生ひき逃げ、高裁は懲役7年の実刑を命じる

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酒気帯び状態で意識が朦朧とした状態で運転を続け、制限速度を大幅に超える速度で帰宅途中の女子中学生2人をひき逃げして死亡させ、業務上過失致死と道路交通法違反の罪に問われた39歳の男に対する控訴審判決公判が10日、東京高裁で開かれた。裁判所は懲役5年6カ月とした一審判決を破棄し、懲役7年の実刑判決を言い渡した。

この事故は今年3月17日に栃木県益子町内で発生している。被告は事故直前まで数時間に渡って飲酒を行い、1時間ほど仮眠して酔いが醒めたと判断して運転を強行した。

しかし、直後に居眠り状態となり、男が運転するクルマは同日の午後7時ごろ、益子町塙の町道を歩いていた帰宅途中の女子中学生2人に突っ込んだ。

衝突当時、クルマは制限速度を大幅に超える90〜100km/hの状態で走っており、2人の体は数十メートル飛ばされ、クルマも大破した。

男はそのまま現場から逃走。勤務先へ聞き込みに訪れた警察官にも「知らない」などと答えていたが、逃げ切れないと判断して警察に自首した。

警察では事故の形態があまりに悪質なことから危険運転致死容疑を適用したが、検察は「著しい高速度は居眠り運転によって生じたもの」と評価。業務上過失致死に罪状を変更。遺族はこれに反発し、危険運転罪適用を求めて9万3000人分の署名を提出していたが、一審の宇都宮地裁はこれを受け入れたものの、重視はしなかった。

判決では被告が自首したことを情状酌量の要素とし、検察側の懲役7年6カ月の求刑に対して懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡している。

遺族は裁判後、検察に対して改めて危険運転罪への訴因変更を求めたが、検察側は「危険運転罪への変更はできないが、量刑は不服という点では考えが一致する」として、東京高裁に控訴していた。

10日に行われた控訴審判決公判で、東京高裁の白木勇裁判長は「飲酒運転の発覚を恐れ、衝突の音に気づいたにも関わらず逃走したのは人倫にもとる卑劣な行為」と指摘した。その上で「愛する娘を突然失った遺族が厳罰を求める感情は軽視できるものではなく、それを考慮するなら一審の量刑は軽すぎて不当である」と判断。

一審判決を破棄し、改めて懲役7年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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