ホンダの燃料電池車スタディ『極』(きわみ)は重い燃料電池を車体中央部の低い位置に沖、重心を下げ、車体の回転慣性モーメントを減らし、スポーティな走りを達成すると同時に、広い車内スペースも確保した。
「スポーツとスペースの両立という、ホンダ流の“不常識”」と本田技術研究所和光研究所デザイン部の宇井與志男チーフエグゼクティブエンジニア。「スペースを大きくすると屋根が広くなり、幅と高さの“アスペクト比”でいうとよりぺっちゃんこな、よりスポーティな造形になる」
こうして見ると、極はスペーススポーツ、『IMAS』は燃費スポーツ、『HSC』はスーパースポーツと、ホンダのコンセプトカー群には「スポーツ」という共通テーマがあることがわかる。
宇井チーフは東京モーターショーを総括して、スタイリッシュなクルマがまた主役に戻ってきた、と言う。「背の低いクルマばかりだが、乗員パッケージングを確保することが、必ずしもレトロにならないことを証明した」(10月25日、シンポジウム『叫べデザイン! 吼えろニッポン!』:日本自動車工業会、自動車技術会・共催)