ロールオーバーテストは「釣り針方式」

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NHTSA(アメリカ道路交通安全局)がついに噂のロールオーバーテストを正式に決定した。今年のデトロイトオートショーで「SUVは危険」と指摘したラング博士の協力のもと、設立されたテストは「釣り針方式」と言われるもの。

これは、自動車のタイヤから水平に車輪付きの棒を伸ばし、35マイル/h、50マイル/hでジグザグ走行するクルマの傾きを実測する、というもの。もしこの補助輪のような棒が地面にすれることがあれば、それだけロールオーバーの危険性が高い、とされる。「釣り針」と呼ばれるのは、直進から急に方向を変える走行が、ちょうどカギ針のような形のテストコースとなるため。

NHTSAでは今月からSUV を中心にテストを始め、来年1月には結果が発表される。現在アメリカでは全家庭のおよそ4分の1がSUVを保有しており、SUVが実際にロールオーバーの危険性が高い、と数値で指摘されればかなりの影響が出ることも考えられる。

アメリカでロールオーバーが原因で死亡した人は、2002年の1年間で1万人以上にのぼる。交通事故全体の中でロールオーバーが占める割合は2.5%だが、死亡事故のうちの22%という高率だ。しかも、ロールオーバーによる死亡事故のうち、普通乗用車が23%に対し、SUVは61%だという。

しかしSUVオーナーズ・オブ・アメリカなどのグループは、「現実の事故の95%以上は前面、後部、側面などの衝突事故で、ロールオーバーは事故全体のわずかな数字でしかない。大部分の事故ではSUVは乗用車より安全」と反論している。

《Sachiko Hijikata, US editor》

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