カルソニックカンセイのブースに、UCRなるものが展示されている。ユニフィケーション・オブ・コンデンサー・アンド・ラジエーターの頭文字を取ってUCR。エアコン用のコンデンサーとエンジンのラジエーターという、熱交換機能を持つふたつの部品を合体させたものだ。
展示されているUCRユニットは、1.3リットルクラスの乗用車向けに開発されたもの。ラジエーターとコンデンサーを別べつに作るよりも、合計の厚みで30%薄く、重量で15%軽く、部品点数は30%少なくなっている。しかし機能は変わらない。性能・機能を維持したままで軽く、安くするのが本当の意味での軽量化でありコストダウンである。その意味からすると、カルソニックカンセイのUCRは部品の正常進化のカタチと言える。
このUCR、近くカルソニックカンセイのスペイン工場で生産が始まるという。ということは、ヨーロッパ生産のモデルに採用されるわけだが、聞いてびっくり、納入先はルノーだという。ならば、ビッグマイナーチェンジを予定しているルノー『クリオ』用に違いない。もちろん、UCRは日本でも生産されるわけで、ということは、ブースに飾ってある1.3リットルクラス乗用車用はズバリ、次期日産『マーチ』用だ! これは95%当たっているはずだ!
エンジン横置きのFF乗用車では、エンジンよりも前に位置する部品をどれだけ小型軽量化できるかで、パッケージングが変わってくる。30%も薄く15%も軽くなったUCRを使えるという前提で、マーチのエンジンルームは設計されたのだろう。こういう外からは見えない部分の進歩が、クルマをどんどん変えてゆくわけで、モーターショーの部品館を歩いていると、そういう発見があるから楽しい。