新型『SL』のボディは、その33%が高張力鋼板でできている。この数字は先代より14%のアップ。フロアパンもかなり頑丈になり、ねじり剛性が20%もアップ。オープントップ車でいつも問題になるボディの歪みを最小限に抑える。多少振動が感じられるのは、でこぼこのアスファルト道路を走るときだけだ。
シートの後ろに付けられたウィンドデフレクターのおかげで、どんなにスピードを出してもドライバーとパッセンジャーは風から守られる。しかもルーフなしで雨の中を走っていても、エアロダイナミックスのおかげで乗員は濡れずに済む。 なんでも新しいことにチャレンジするという歴代SLの評判に応え、今回は電気・油圧式ブレーキを初めて搭載した。SBC (センソトロニック・ブレーキ制御 ) と呼ばれるこのハイテクは、ブレーキペダルとキャリパー間を電気信号で結び、それぞれのホイールに個別にブレーキをかけるというものだ。関係者の話によると制動距離が3%縮まったとのこと。
かなり重いウェイトにもかかわらず、大きめベンチレーテッド・ディスクブレーキ(前330mm/後300mm)の働きは優れていて、最初に踏み込んだときの反応もぱりっとしているし、思い切り踏み込んだ時のパワーは驚異的なほどである。ABSシステムが作動しているとある程度の振動が起きてしまうものだが、SBCシステムが付いていれば大丈夫。
スピードを落とさずにヘアピンカーブに入って、強くブレーキを踏み込んだとしても、このSBCシステムがちゃんとボディの安定を保ってくれる。ブレーキペダルからのいやな振動など感じさせずに、スムーズにスピードダウンしてくれる。