フラッグシップ・サルーン「テシス」を発表したランチアのブースは、4人の職人がいる。イタリアの伝統工芸と現代の自動車工業とが密接に関係しているということを、この4人が証言しているのだ。
ヴィオリン職人、ソファーに皮を張る家具職人、彫刻家、そして粘土模型をつくるモデラー。彼らは本当にブース内で「作品」を仕上げている。そして、彼らのかたわらにはランチア・テシスがある。
ランチアのデザインスタッフに話を聞いてみた。「モデルを作るのは大変だったよ。でも、我が社のモデラーはみんな優秀だから、スケッチをそのまま実物大モデルにしてくれた」との答えだった。
クルマをデザインするときには実物大の粘土模型を制作する。それがモデラーの仕事だ。図面だけならコンピューターの画面上で仕事ができるが、それをカタチに表すのは、やはり人間の手仕事なのだ。ランチア・ブースでは、そういう「ものづくり」の根元に触れることができる。