98年のトリノ・ショーにランチアが出品したデザインスタディ・モデル、ディアロゴスが、市販車として登場した。このテシスはランチア最上級モデル、カッパの後継。エクステリアはディアロゴスのモチーフがふんだんに使われている。
エンジンは4バルブ2.4リットル直5と4バルブ3リットルV6。横置きFFだが、このボディサイズならフロントにすっぽり収まる。特徴あるフロントグリルとヘッドライト、優雅なルーフライン、3次元曲面のリアガラスなどは、ディアロゴスゆずりだ。全身から大人の雰囲気がただよう。
唯一、残念なのは、真横からながめたときのプロポーションだ。フロントドアのオープニングラインと前輪が近く、ヘッドライトとフェンダーアーチの間が離れているという、ちょっと古くさいFFのプロポーション。これで前輪があと10cm前にあったら、さぞかし美しいだろう。
しかし、スタイリングの美しさは抜群だ。レトロなのだが、そのモチーフはランチア自身がかつて持っていたものであり、オリジナルの味を現代によみがえらせるという正統派レトロ。歴史だけは、お金で買えない。