『クルーガーV』のキャラクターを、ライバルを通してはっきりさせようとしたのだが、これがかえって難しい。まず自社の『ハリアー』、『ハイラックスサーフ』、スバル『レガシィ・ランカスター』や『フォレスター』の2.5リットル、三菱『RVR』の2.4リットル、同じく『チャレンジャー』。いずれも真っ向から、とはいかない。
輸入車でも直接の競合車種は見当たらない。最近登場した日産『エクストレイル』やマツダ『トリビュート』が路線としては近いが、大きさや車格は異なる。
デザイナーはどれをライバルとして開発したのだろうか。デザインを担当したのはトヨタ自動車、第1デザイン部。SUV担当の第3ではなく、FFメインの第2でもなく(プラットフォームの基本設計は『カムリ』に近い)、FRを担当し高級車を得意とする第1である。このあたりはハリアーと同じ状況のようだ。ハリアーの発売と前後して97年、デザイン開発はスタートした。
第1デザイン部の御園秀一部長は、「とくにライバルはなかったですねえ。むしろハリアー、ハイラックスサーフなどとの住み分けを意識しました。しいてライバルといえば、クルーガーVとハリアーでジープ『グランド・チェロキー』を挟み撃ち、ですかね」と語る。わかりやすい説明ではあった。