【メディアウォッチ座談会】リニューアル2誌に注目!!

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『NAVI 』12月号 vs 『ニューモデルマガジンX』12月号

S この2誌は、どちらも最近、誌面刷新が計られました。『NAVI 』は前号から編集長が交代して、前号から小川フミオ氏が新しい編集長に就任しています。巻頭特集は前号から3回連続で続く「自動車のミレニアム」で、今回は「現在篇」。「まったく新しい基準でおこなう2000年の自動車テスト」を提唱しています。

F 具体的には、実走行による燃費テストと、実走行に近い状態でのCO、HCの排出量テストを行なっていますね。

S 小川新編集長は「これからの自動車の評価基準にとって重要なのは、環境と安全への配慮である、という編集方針に立って、この号を作った」と述べていました。

M その考え方はかなり危険だと思いますね。新編集長がアンチ前任者的な姿勢を打ち出すのは当たり前だけど、その旗印がエコと安全で、はたして本が売れるのだろうか?

T 私は、これからのクルマは、エコロジーと安全は充実しているのが当たり前であるべきで、その要件をクリアした上でいかにクルマが魅力的か、を評価すべきだと思う。少なくともauto-ASCII24はそういうスタンスで自動車を評価していきたいと思ってます。

M そう、auto-ASCII24の場合は「カーマルチメディア」ね。クルマの情報性能が新たなクルマの付加価値となる、と思っている。

S もちろん『NAVI 』も「ファン・トゥ・ドライブ」という視点は持っていると思いますが、エコと安全をいかに計測/評価するかという試みに、この特集の新しさがあるんじゃないですか。

M たしかに排ガスのテストは画期的だけど、期せずして『マガジンX』も同様の企画をやってますね。

F 小川編集長は「読者層を若返らせたい」とも考えているそうで、たしかに読んでみると、昔の『NAVI』みたいに若い編集者がバリバリ原稿を書いて活躍している、という雰囲気が出ているのはいいと思うな。

M 小川編集長が「わかりやすい誌面づくり」を心がけているのもよく分かりますね。「5秒でわかる新車解説」とか。

T ただ、そのぶん類型的になった気もする。

F 今までの『NAVI』はとっつきにくくても、とにかく本文が面白そうだから読んでみようというという気にさせるところがありましたけどね。

T 今は、じっくり読んでくれるタイプの読者が減っているんですよ。だからキャッチーな「引き」を作って、そこから本文を読ませようとしているのかな。

S たしかに小川氏には、極端なほど「わかりやすく」するのを好む傾向がありますね。

F そのためかページあたりの文字数も減らしてますね。巻頭のほうの記事なんて、昔は1ページでも普通の雑誌の2ページ分の文字数があっただけに、ちょっとスカスカな感じがする。

S ただ、心配なのは、元編集部員で、現在も寄稿している私が自戒を込めて言えば、『NAVI』は文体や話芸のうまさ、面白さに頼りすぎていて、じつは視点の鋭さとか、分析の深さは、記事によっては凡庸だったりする傾向があることですね。「わかりやすさ」と「内容が浅い」というのは同じではありませんから。

F いずれにせよ、これまでの『NAVI』は独裁者的な作り方で、それゆえの強烈な個性も魅力だったけれど、新体制での「民主化路線」がどうなるかは見物ですね。

T 読者の読みたがる雑誌づくりを目指している気がします。最近のメルセデスベンツみたいだね。「最善か無か」ではなくて、「お客さまのほしがる本」を目指している。

M でも普通の自動車雑誌にだけはならないでほしいな。

T もっと斬新な企画が続々出てくることに期待したいですね。今後が楽しみです。



M なにかと『NAVI』と比較される『ニューモデルマガジンX』も、12月号から内容を刷新していますね。 

F 編集長以外の編集スタッフも1年前と全然変わってますね。

M 表紙以外で大きく変わったのは、エロと消費者金融の広告がなくなったこと。包茎手術の広告は相変わらずあるけど。ソニーの広告が入ったのは画期的だな。

T それはどういうことを意味するんですか。

M どうも牧野編集長は『ニューモデルマガジンX』をプレミアム誌にしたいという願望があるようですね。

T ただ、プレミアム誌、クオリティ誌は売れないですよ。そういう雑誌は、体力のある出版社が、たとえ部数がでなくてもシンボルとして、イメージリーダーとして続けるべきものなんです。クルマでいえばセンチュリーみたいなもので(笑)。

S 僕はプレミアム路線には疑問ですね。エロ広告が入っていたおかげで、おふざけも含めた自由な言論が保証されていたんじゃないかな。なんだか最近の同誌には「自分を笑える」余裕が足りない気がする。

M ライターの方も「辛口の批評を」というので力が入り過ぎてる感じがある。

T 昔の『ニューモデルマガジンX』はいわば闇鍋だったから、くだらないものから辛口までなんでもアリだったけど、いまは辛口一本槍になっている。それがプレミアム路線なのかも知れないけど、自分の首を絞めているみたいで、危険な気がするなあ。

M 同誌名物の新車スクープ報道については、最近は詳細なイラストではなくて、ナマ写真路線になってますね。私はこっちの方が好きだな。

T だだ、メーカー側の読者にとってはイラストの方が参考になるんですね。ディーラー勤務の人とか。でも一般の読者には、イラストはどれだけ真に迫っていても信ぴょう性が低く見える。ピンぼけでもナマ写真の方がうれしいんですね。

S それは「誰のために雑誌を作るか」という問題にもかかわりますね。

F でも、720万人といわれるの自動車業界人も無視できない数ですよ。それをあえて切り捨てて一般のクルマ好き読者を優先していいのかな。

M そのほか今月号の特集ですごいのは、モーターショーを早くも速報していること。コンパニオンのナマ写真とか、他誌を先取りしてますね。

T でもauto-ASCII24よりは遅いわけだけど。うちは当日記事アップ。コンパニオン写真など1000枚一挙公開だし(笑)。

S 各ブースの詳細な解説も面白かったですよ。

F でもauto-ASCII24のブース紹介はパノラマ画像で360度見られるわけだから(笑)。

T 期せずしてWEBと紙媒体の性格の差が露呈しましたね。

M マガジンXもWeb媒体になればいいのに。

S ところで、東京都の「ディーゼル潰し」と「10・15モード燃費」の欺瞞について、執拗に戦っている姿勢は評価できますね。論理的かつ具体的に反論している。

T この号ではついに「宣戦布告」してしまった。

M 同誌名物の「コンシューマーテスト」では、ガソリンとディーゼルの排ガス・テストを、現実的な走行モードのもとにしていますね。NOxの量まで測定しているのは立派だ。

T 燃費と排ガステスト、東京都のディーゼル潰しへの反論における徹底度でいえば、『ニューモデルマガジンX』は『NAVI』に勝ってますね。

M 大衆向けを目ざしながら、辛口ジャーナリズム路線をを強化し、内容を濃くしようとしている。この号は牧野編集長ひとりの獅子奮迅の結果のようですけど、次号以降も、毎号毎号このパワーを続けられたらすごいですね。

F いずれにせよ『ニューモデルマガジンX』も『NAVI』も、編集長が「勝負」している力作ですから、ぜひ読んでみてほしいですね。


座談会メンバー
S:陶山 拓(まとめ)
M:三浦和也(auto-ASCII24)
T:高木 啓(auto-ASCII24)
F:藤田耕治(auto-ASCII24)
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